
リゾコム編集部
2026年の地価公示で住宅地の上昇率が全国1位となった白馬。インバウンド需要で買い手の中心が海外にも広がる一方、売れる物件は選別されています。需要期が「冬」になる白馬特有の売り方、別荘地ごとの協定ルール、宿泊事業訴求の条件、海外買い手への実務まで解説します。

「白馬の地価が全国1位で上がっていると聞いた。今売れば高く売れるのでは」——2026年に入って急増したご相談です。
答えは半分正しく、半分は誤解です。白馬の市場はいま、日本のリゾート地の中で最も稀有な局面にあります——需要の中心が海外に広がり、買い手の動く季節が「冬」で、価格が年率3割で動いている。しかし、その需要は物件を選びます。この記事では、売却の基本(別荘売却ガイド参照)を白馬に引きつけて、地価上昇の実態、海外を含む買い手の実像、白馬固有のルール、そして「売れる条件」を解説します。大糸線で白馬につながる安曇野・大町の売却も、末尾で扱います。
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国土交通省が発表した令和8年の地価公示で、白馬村の住宅地の標準地(北城・みそら野別荘地)は前年比+33.0%と、住宅地の上昇率で全国1位を記録しました[1]。商業地でも、白馬駅から約2.3kmの標準地(北城字山越)が前年比+35.2%で、令和6年+30.2%、令和7年+33.0%に続く3年連続の30%超上昇です[2]。ただし同じ地点の履歴を見ると、平成9年の10万円/㎡から20年以上下落を続け、平成30年の1.2万円/㎡を底に反転したのが現在の上昇局面——令和8年の4.0万円/㎡は、上昇率こそ大きいものの水準としては往時の4割です[2]。各標準地のデータは国土交通省の不動産情報ライブラリで誰でも確認できます[3]。
背景はインバウンドです。パウダースノーを目当てに訪れた海外のスキー客が、滞在拠点として住宅を購入する、宿泊事業を開業する、外国資本が宿泊施設を開発する——この需要が別荘地の地価を押し上げています。買い手は大きく3層です。
そしてここが白馬の最大の特徴です——需要期が冬。他のリゾート地では「新緑〜夏」が内見のピークですが、白馬の買い手はスキーシーズンに現地を訪れ、滞在中に物件を見ます。流れと期間の記事で解説した「需要期から逆算する」の白馬版は、秋に売り出し、11〜3月の内見シーズンを丸ごと使うです。
建物側の準備——雪害・凍結の履歴、設備の点検記録、書類整理——は建物準備ガイドの5ステップがそのまま使えます。
白馬村には、景観条例に基づく景観計画があり、建築物の高さ・道路や隣地からの後退距離・外壁や屋根の色彩などの基準が定められています。さらに、立地適正化計画で定めた区域外で一定規模以上の住宅開発・建築を行う際は届出が必要です[5]。
売主にとってより重要なのが、別荘地ごとの協定です。別荘分譲で誕生した地区には、長野県自然環境保全条例に基づく自然保護協定や独自協定があり、例えば五竜白馬の森分譲地は建ぺい率20%・容積率40%・高さ13m・個人は2階以下、みそら野別荘地は建ぺい率20%・容積率40%、といった基準が地区ごとに定められています。宿泊施設など業務用建築物を建築できない協定地もあります[6]。
つまり白馬の売却では、「この物件はどの協定地にあり、建て替え・増築・用途にどんな制約があるか」を売出前に確認し、買い手の質問に即答できる状態にすることが、成約への最短ルートです。協定の内容は村の一覧と、各別荘地の管理事務所で確認できます。
白馬は宿泊事業の需要が強いエリアですが、「民泊で収益化できます」と無条件に訴求することはできません。理由は2つ。第一に、住宅宿泊事業(民泊)は長野県の条例と規則によって事業を実施できる区域・期間が制限されており、制限区域は令和7年4月にも見直されています[7]。第二に、前章の通り、別荘地の協定で宿泊施設の建築を認めていない地区があります[6]。旅館業法の許可を取る貸別荘運用も、用途・設備の要件が別途あります。
実務の正解は、物件ごとに「県条例の制限区域の内外」「協定の用途制限」「用途地域」を確認し、可否を正確に伝えること。可能な物件なら事業層に強く刺さり、不可の物件は最初から別の買い手層に向ける——この見極めができる業者に依頼することが、白馬では特に重要です。
「外国人なら高く買ってくれる」という期待はよく聞きますが、海外の買い手も相場を見ます。価格が決まるのは国籍ではなく、ゲレンデへの距離・通年性・協定・宿泊可否という条件です。
その上で、海外の買い手に売るための実務は国内取引と違います。物件資料・重要事項説明の内容を英語で正確に伝える体制、契約書の翻訳と通訳、海外からの送金による決済(着金確認・本人確認の段取り)。これらを扱える業者とそうでない業者で、海外買い手への到達率がまったく変わります。なお、売主側の税金は売主自身の居住状況と物件の利用実態で決まり、買主が外国人であっても変わりません(別荘の譲渡所得の計算は費用と税金の記事へ)。
白馬へ向かう大糸線の沿線——安曇野と大町(木崎湖・青木湖などの仁科三湖周辺)は、白馬と地続きながら市場の性格が違います。
安曇野は、別荘というより田園移住・定住の市場です。北アルプスの眺望と水のきれいな田園環境を求めて移住する層が主な買い手で、売却の文法は湘南の記事で解説した「別荘として売るか、家として売るか」に近く、生活の解像度(スーパー・病院・学校・冬の道路)で資料を組む方が動きます。白馬の地価上昇が直接波及するエリアではなく、価格は落ち着いています。
大町は、湖畔の別荘地とスキー場(爺ガ岳・鹿島槍)を持つ、白馬の「隣」。白馬の価格高騰を避けた買い手が流れてくる受け皿になりつつありますが、別荘地の管理状態と冬の到達性で選別されるのは白馬以上です。管理が生きている別荘地かどうかを最初に確認してください(考え方は那須・伊豆の記事と共通です)。
Q. 白馬は今が売り時ですか?
A. 地価は上昇局面で、買い手の母数も海外に広がっている——市場としては追い風です。ただし上昇は地点によって差があり、協定で用途が制限された区画やゲレンデから遠い物件には同じ勢いで波及していません。「自分の物件はいくらか」は、同じ別荘地・同じ条件帯の直近成約で判断するのが正確で、その見極め自体が査定のご相談内容です。
Q. 「民泊で収益化できる」と書いて売り出していいですか?
A. 条件を確認する前には書けません。県条例の制限区域・別荘地の協定・用途地域の3点を確認し、可能な場合に限って「条件付きで可」と正確に伝えてください。根拠のない収益訴求は買い手とのトラブルと法令リスクの両方を招きます。
Q. 海外の買い手に売るとき、売主として何に注意すればいいですか?
A. 実務は業者側で整えますが、売主にお願いしたいのは「情報の正確さ」です。協定・宿泊可否・冬の実態について曖昧な説明があると、言語の壁で誤解が増幅されます。もうひとつ、「外国人だから相場より高く買う」という前提で価格を上乗せすると、国内外どちらの買い手も離れます。
Q. 雪の季節は売却活動を止めるべきですか?
A. 逆です。白馬の内見ピークはスキーシーズンで、買い手は滞在中に物件を見ます。秋までに書類・写真・協定の確認を済ませ、雪のある現地を「通年で快適に使える家」として見せるのが白馬の売り方です。
リゾート暮らし.comでは、白馬・大町・安曇野エリアの別荘・リゾート物件の売却相談・無料査定を承っています。協定の確認、宿泊事業の可否判定、海外の買い手への対応を含めて、白馬ならではの「答えづくり」からご一緒します。
※制度・データは2026年10月時点の情報です。地価公示の数値は国土交通省の発表に基づきます。協定・条例の内容は改定されることがあるため、個別の物件への適用は村・県・管理事務所の最新資料でご確認ください。

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