
リゾコム編集部
別荘売却の全知識を宅建業者が解説。売却の流れ7ステップ、仲介手数料・印紙税などの費用、譲渡所得税の計算式、3,000万円控除が使えない理由、売れない別荘の対処法まで。リゾート物件専門だからわかる実態をお伝えします。

「使わなくなった別荘、そろそろ手放そうか」——そう考え始めたとき、最初にぶつかるのが「別荘の売却は自宅の売却と何が違うのか」という疑問ではないでしょうか。
結論からお伝えすると、別荘売却は自宅売却と「税金」「買い手の探し方」「売却期間」の3点で大きく異なります。特に税金面では、自宅なら使える3,000万円特別控除が別荘には適用されず[1]、この違いを知らずに売却して想定外の税負担に驚く方が少なくありません。
この記事では、リゾート物件を専門に扱う宅建業者の立場から、別荘売却の流れ・費用・税金・高く売るコツ・売れない場合の選択肢まで、この1記事で全体像がつかめるように解説します。
総務省の住宅・土地統計調査(令和5年)によると、全国の空き家は約900万戸に達し、このうち別荘などの「二次的住宅」は約38万戸存在します[2]。さらに国土交通省が令和7年8月に公表した「令和6年空き家所有者実態調査」では、空き家の取得経緯は(取得方法が判明した空き家のうち)「相続」が57.9%と約6割を占めることが明らかになりました[3]。

さらに同調査を別荘・セカンドハウス用の空き家(二次的住宅)に絞ると、今後の利用意向で「売却する」と答えた所有者は11.5%——およそ9人に1人が売却を視野に入れている計算です。実際、令和5年10月〜令和6年12月の調査では15.4%が居住・売却・転用などによって空き家状態を解消したことがわかっており[3]、別荘を手放すという選択はもはや特別なことではなくなっています。

相続で取得したものの使っていない別荘、年に数回しか訪れなくなった別荘は着実に積み上がっており、「維持費を払い続けるか、売却するか」は多くの所有者に共通する課題です。
一方で、買い手側の環境は追い風です。国土交通省の令和7年度テレワーク人口実態調査(令和8年3月公表)では、コロナ禍後に減少が続いていたテレワーク実施率が増加に転じており(16.8%・前年度比1.2ポイント増)、出社と組み合わせるハイブリッドワークが働き方として定着しています[4]。制度面でも、二拠点生活を後押しする「二地域居住促進法」(改正広域的地域活性化基盤整備法)が令和6年11月に施行され[5]、二地域居住にあたる暮らし方は「特定居住」という名称で法律上に定義されました。二拠点生活は、国が制度として推進する暮らし方になっています。こうした背景から、都心からアクセスの良いリゾートエリアでは中古別荘への問い合わせが続いています。ただし需要はすべての物件に均等に向かうわけではありません。「売れる別荘」と「売れない別荘」の二極化が進んでいる——これが仲介の現場から見える市場の実態です。ご自身の別荘がどちら側にいるのか、そしてどうすれば「売れる側」に寄せられるのかを、順に見ていきましょう。

「売却=不動産会社に仲介を頼む」と思われがちですが、選択肢は5つあります。
| 方法 | 向いているケース | 価格水準 |
|---|---|---|
① 仲介 | 時間をかけても適正価格で売りたい | 市場価格 |
② 買取 | 早く確実に手放したい | 市場価格の6〜8割程度が目安 |
③ 個人間売買 | 買い手が既に決まっている | 当事者間で決定 |
④ 無償譲渡・寄付 | 売却が難しく維持費負担から解放されたい | 0円(諸費用は要負担) |
⑤ 相続土地国庫帰属制度 | 相続した土地で、建物を解体できる | 負担金の支払いが必要 |
基本は①仲介です。リゾート物件は買い手が全国に散らばっているため、リゾート物件の販売網を持つ会社に仲介を依頼するのが、適正価格で売る王道になります。②〜⑤は「仲介で売れなかった場合の次の一手」として、記事後半で詳しく解説します。
なお⑤の相続土地国庫帰属制度は「相続・遺贈で取得した土地」が対象で、建物が建っている土地は申請できません[6]。別荘の場合は建物解体が前提になる点に注意してください。

まずは「いくらで売れそうか」の当たりをつけます。同じ別荘地内の売出事例、国土交通省の不動産情報ライブラリでの成約価格の確認が出発点です。ただし別荘は取引事例が少なく、同じ別荘地内でも「管理別荘地か否か」「傾斜地か平坦地か」「温泉引込の有無」で価格が大きく変わるため、自宅以上に「机上の相場」と「実際に売れる価格」の差が出やすい点は織り込んでおいてください。
リゾート物件の取扱実績がある会社に査定を依頼します。ここで重要なのは、査定額の高さではなく 「その価格の根拠」と「売却戦略」を説明できるかです。相場より高い査定額を提示して媒介契約を取り、後から値下げを迫る手法は業界の悪しき慣行として残っています。根拠となる成約事例・想定買い手層・販売チャネルまで確認しましょう。
媒介契約は3種類あります。複数社に依頼できる「一般媒介」、1社専属で2週間に1回以上の報告義務がある「専任媒介」、さらに報告頻度が高い「専属専任媒介」です。買い手の母集団が限られる別荘は、販売力のある1社と専任媒介を結び、集中的に動いてもらう方が結果的に早いケースが多いというのが実務上の感覚です。
ポータルサイト掲載、自社サイト掲載、既存顧客への紹介、現地案内が中心です。別荘の内見は買い手が遠方から来ることが多く、土日に集中し、1回の内見の重みが自宅売却より格段に大きいのが特徴です。水道・電気を止めている場合は内見用に開栓しておく、寝具や私物を整理しておくなど、「その日に決めてもらう」準備が成約率を左右します。
買主が見つかったら売買契約を締結し、手付金(売買代金の5〜10%程度が一般的)を受領します。契約書には収入印紙の貼付が必要です(金額は費用の章で解説します)。
残代金の受領と同時に所有権移転登記を行います。管理別荘地の場合は管理会社への名義変更手続きと、管理費・温泉利用料などの日割り精算が発生します。固定資産税・都市計画税も引渡日を基準に日割り精算するのが慣行です。
売却で利益(譲渡所得)が出た場合は、売却した年の翌年2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。詳しくは税金の章で解説します。
期間の目安は、査定から引渡しまで早くて3〜6ヶ月。ただしリゾート物件は買い手の絶対数が少ないため、1年以上かかるケースも珍しくありません。「いつまでに売りたいか」から逆算して、価格設定と売却方法を決めることが重要です。

仲介手数料の上限は宅建業法に基づく告示で定められています。
売買価格800万円超の場合(速算式)
仲介手数料上限 = 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税
売買価格800万円以下の場合
2024年7月1日施行の告示改正(低廉な空家等の媒介特例の拡充)により、売買価格800万円以下の物件は、通常の計算式にかかわらず上限30万円(税込33万円) まで受領できることになりました[7]。築古の別荘は800万円以下での取引も多いため、この特例が適用されるケースは実務上よくあります。なお、この特例による報酬額は媒介契約の締結時にあらかじめ説明・合意することが要件です。
売買契約書に貼付する収入印紙です。2027年(令和9年)3月31日までに作成される不動産売買契約書には軽減税率が適用されます[8]。
| 契約金額 | 印紙税額(軽減後) |
|---|---|
500万円超 1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超 1億円以下 | 3万円 |
ここが別荘売却で最も重要なパートです。
売却益にかかる税金(所得税・住民税)は、次の計算式で求めた「課税譲渡所得」に税率を掛けて計算します[9]。
課税譲渡所得 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額
譲渡した年の1月1日時点の所有期間で、税率が大きく変わります[9][10]。
| 区分 | 所有期間 | 税率(所得税+復興特別所得税+住民税) |
|---|---|---|
長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315%(15% + 0.315% + 5%) |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(30% + 0.63% + 9%) |
注意すべきは「譲渡した年の1月1日時点」で判定される点です。例えば2021年8月に取得した別荘を2026年10月に売却した場合、実際の所有期間は5年を超えていますが、2026年1月1日時点では5年以下のため短期譲渡所得となります。取得から丸5年を過ぎた直後の売却は、年をまたぐかどうかで税率が約2倍変わる可能性があるため、売却タイミングの検討材料にしてください。

自宅(マイホーム)を売った場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例がありますが、この特例は「別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋」には適用されません[1]。
つまり、自宅なら3,000万円までの売却益が実質非課税になるのに対し、別荘は売却益がそのまま課税対象になります。「自宅を売った知人は税金がかからなかったから」という感覚で別荘を売ると、翌年の納税で驚くことになります。売却前に必ず試算しておきましょう。
なお、セカンドハウス(週末に定期的に居住している家屋)と別荘は税務上の扱いが異なる場面がありますが、3,000万円特別控除の適用可否は「生活の本拠」かどうかが実質で判断されます。判断に迷うケースは税理士や税務署への確認をおすすめします。
親から相続した別荘では、購入当時の売買契約書が見つからないことがよくあります。取得費が不明な場合は、譲渡価額の5%を概算取得費とすることができます[11]。
概算取得費 = 譲渡価額 × 5%
ただしこの場合、譲渡価額の95%から譲渡費用を引いた金額がほぼそのまま課税対象になるため、税負担は重くなりがちです。当時のパンフレットや分譲価格表、住宅ローンの記録など、取得費を裏付ける資料を探す価値は十分にあります。
また、相続税を納めた方が相続開始から3年10ヶ月以内に売却した場合、納めた相続税の一部を取得費に加算できる特例(取得費加算の特例)もあります[12]。相続別荘の売却はタイミングによって税負担が変わるため、早めの検討が有利に働きます。
リゾート物件を扱っていると、「他社で1年売れなかった」というご相談を頻繁にいただきます。売れない理由はほぼ次の5つに集約されます。
1. 価格が相場とずれている 最も多い原因です。「購入時の価格」や「思い入れ」を基準にした価格設定は、買い手には関係がありません。特にバブル期に分譲された別荘地は、当時の分譲価格の1〜2割程度でしか売れないことも珍しくなく、この現実を受け入れられるかが売却成否の分かれ目になります。
2. 依頼先がリゾート物件に不慣れ 地元の一般的な不動産会社は、居住用物件の買い手は持っていても、別荘の買い手(都市部在住の二拠点検討層)への販売チャネルを持っていないことがあります。「どこに広告を出し、誰に届けているか」を確認してください。
3. 建物の状態が内見で不安を与える 長期間使っていない別荘は、カビ臭・雨漏り跡・野生動物の侵入痕などが内見時の致命傷になります。売却前のハウスクリーニングと最低限の補修は、費用対効果の高い投資です。
4. インフラ・管理の情報が整理されていない 浄化槽の点検記録、温泉権の名義と更新料、管理費の金額と滞納の有無——買い手が最も不安に感じるのはこの部分です。書類を揃えて「即答できる状態」にしておくだけで成約率は変わります。
5. 法規制の壁 市街化調整区域、急傾斜地崩壊危険区域、建築当時と現行の建築規制の違い(再建築の可否)など、リゾート物件特有の規制が買い手のローン審査や購入判断に影響します。売出前に規制を調査し、告知すべき事項を整理しておくことが、結果的に早期売却につながります。

宅建業者が直接買い取る方法です。物件によって様々ですが、相場の5割程度になることもあれば、8割程度になることもあります。建物の状態、エリアの需給の状態によって様々です。内見対応が不要で、契約不適合責任が免除されることが多く、確実に手放せます。「維持費×保有年数」と「買取による値引き分」を天秤にかけると、買取が合理的な場面は確実にあります。
隣地所有者や別荘地内の利用者に無償で譲る方法です。0円でも、登記費用や譲渡に伴う契約実務は発生します。また自治体への寄付は、自治体側が利用予定のない土地の受け取りを断るのが一般的で、期待しすぎは禁物です。
相続・遺贈で取得した土地を国に引き取ってもらう制度です(2023年4月開始)[6]。ただし別荘での利用には高いハードルがあります。
解体費用+負担金を支払ってでも将来の管理負担を断ち切りたい、という場合の最終手段と位置づけるのが現実的です。
Q. 住みながら(使いながら)売却できますか? 可能です。ただし内見時は生活感を抑え、いつでも案内できる状態を保つ必要があります。
Q. 共有名義の別荘は売却できますか? 共有者全員の同意があれば売却できます。相続で共有になっている場合は、売却方針の合意形成を先に済ませてから査定に進むのがスムーズです。
Q. 管理費や固定資産税を滞納していても売れますか? 売却は可能ですが、滞納分は決済時に精算するのが原則です。管理別荘地では滞納があると管理会社の名義変更手続きが進まないため、事前に管理会社へ確認してください。
Q. 売却で損が出た場合も確定申告は必要ですか? 譲渡損失の場合、申告義務は原則ありません。ただし別荘の譲渡損失は他の所得との損益通算が認められていないため、「損が出たから税金が戻る」とは考えないようにしてください。
別荘売却のポイントを整理します。
別荘は、一般の住宅以上に「どこに、どう売ってもらうか」で結果が変わる不動産です。リゾート暮らし.comでは、軽井沢・箱根・熱海・伊豆・那須・千葉・沖縄などのリゾートエリアを専門に、売却のご相談・無料査定を承っています。「まだ売ると決めていない」段階のご相談も歓迎です。維持費と売却のどちらが合理的か、実際の成約データをもとにご一緒に検討します。
※税制・法令は2026年7月時点の情報です。個別の税額計算は税理士または所轄税務署にご確認ください。

別荘の売却相場は自分で調べられます。国の成約価格データ・売出事例・固定資産税評価額からの逆算など4つの方法を、リゾート物件専門の宅建業者が手順つきで解説。別荘ならではの机上相場が当てにならない場合が多い現状もお伝えします。
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リゾート地の別荘を所有している方向けの記事になります!適切な準備と知識があればその価値を最大限に引き出しより良い条件で売却できることでしょう。 本ガイドでは、2025年の最新市場動向を踏まえ、リゾート地の物件の売却について長期保有による経年劣化やリゾート地特有の管理状態など、一般住宅とは異なる売却のポイントを押さえ、納得のいく取引を実現するためのノウハウをお届けします。

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