
リゾコム編集部
リゾートマンションの売却は戸建て別荘と勘所が異なります。管理費・修繕積立金の滞納は買主に引き継がれるのか、取得費の減価償却はどう計算するのか、売れない物件の典型と対策まで、リゾート物件専門の宅建業者が計算式と条文ベースで解説します。

「温泉大浴場付きのマンション、使わなくなったけど売れるんだろうか」「管理費を滞納したままでも手放せる?」——リゾートマンションの売却には、戸建て別荘とは違う固有の論点があります。
売却の基本的な流れ・費用・税金の全体像は別荘売却ガイド|流れ・費用・税金から「売れない時」の対策まで【2026年版】で解説した通りで、リゾートマンションにも共通します。この記事ではそこから一歩踏み込んで、区分所有ならではの論点——管理費・修繕積立金、滞納の承継、取得費の減価償却、管理規約の制約——を、リゾート物件専門の宅建業者の立場から解説します。
同じ「リゾート物件の売却」でも、区分所有であることが4つの違いを生みます。
| 論点 | 戸建て別荘 | リゾートマンション |
|---|---|---|
価格を左右する主因 | 土地・立地・管理状態 | 月々のランニングコストと管理状態 |
相場の読みやすさ | △(事例少なく個別性大) | ⚪︎(同じ棟内の成約が基準) |
滞納債務 | 管理契約に基づく精算 | 買主に法律上引き継がれる(後述) |
利活用の自由度 | 比較的高い(建築協定・管理規程等の制約)) | 低い(民泊禁止等の管理規約の制約) |
特に重要なのが1点目です。リゾートマンションの買い手は、物件価格よりも先に「管理費+修繕積立金+温泉利用料=月いくらか」を見ます。価格がいくら安くても、月々のコストが買い手の許容ラインを超えていれば売れません。逆に言えば、売出価格の調整だけでは解決しない売れ残りがある——これがリゾートマンション売却の構造です。
一方で有利な面もあります。同じ棟内に売出・成約事例が蓄積しているため、相場の調べ方で紹介した不動産情報ライブラリや売出情報の比較が、戸建て別荘よりずっと機能します。
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リゾートマンションの買い手が最も不安に感じるのは、建物そのものより管理の中身です。査定前に次の3点を整理しておくと、査定精度と成約スピードの両方が上がります。
なお、売却時には管理会社発行の「重要事項調査報告書」(管理に係る重要事項調査報告書)を取得するのが実務の標準です。この書類はマンション管理業協会が作成に関するガイドラインを公表しており、記載項目は業界的に概ね標準化されています[1]。発行には管理会社所定の手数料がかかります(数千円〜2万円程度が目安)。
結論:売れます。ただし滞納分は買主に法律上引き継がれるため、実務では決済時に精算するのが原則です。
区分所有法第8条は、管理費等の債権について「債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」と定めています[2]。特定承継人とは売買などで専有部分を取得した人のこと。つまり前所有者の滞納管理費・修繕積立金は、購入した買主にも請求できる——マンション管理業協会も解説する通り、管理組合の債権を強化して建物の維持管理を確保するための仕組みです[3]。
買い手の立場では「滞納付き物件を買うと自分が請求される」わけですから、滞納を放置したままでは買い手が付きません。実務では、売買代金から滞納分を決済時に充当して精算し、管理組合に滞納ゼロの状態で引き渡します。売却代金で精算できる見込みなら、滞納を理由に売却をためらう必要はありません。むしろ滞納が積み上がるほど精算後の手取りが減るので、早く動くほど有利です。

税金の骨格は戸建て別荘と同じです。リゾートマンションを別荘——つまり 「主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋」——として使っている場合、自宅の売却で使える3,000万円特別控除は適用されません[4]。また、週末などに定期的に滞在するセカンドハウスとして使っている場合も、この特例の対象は自分が生活の本拠として住んでいる家屋に限られるため、原則として適用されません[4]。「セカンドハウスには税制優遇がある」と言われるのは、不動産取得税の軽減[5]や固定資産税の住宅用地特例といった取得・保有段階の地方税の話で、売却時の3,000万円特別控除とは別の制度です。適用の可否は居住の実態で判断されるので、迷うケースは税理士や税務署に確認してください。
税率は譲渡した年の1月1日時点の所有期間で、5年超なら20.315%[6]、5年以下なら39.63%です[7]。詳しくは別荘売却ガイドの税金の章をご覧ください。
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リゾートマンションで特に効いてくるのが、取得費を計算する際の建物の減価償却です。譲渡所得の計算では、建物の購入代金をそのまま取得費にはできず、所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。自宅や別荘など非業務用の建物では次の式で計算します[8]。
減価償却費相当額 = 建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数 ※鉄筋コンクリート造(非業務用)の償却率:0.015/償却費相当額は建物取得価額の95%が上限[8]
例:建物部分の取得価額2,000万円・RC造・所有30年の場合
2,000万円 × 0.9 × 0.015 × 30年 = 810万円(減価償却費相当額)
建物の取得費 = 2,000万円 − 810万円 = 1,190万円
築年数の経ったリゾートマンションでは、この償却で取得費が想定より小さくなり、「安く売ったのに譲渡益が出る」ケースがあり得ます。逆にバブル期の高値で購入した物件は大きな譲渡損になりがちですが、別荘の譲渡損失は給与所得など他の所得と損益通算できません[9]。「損が出た分、税金が戻る」とは考えないでください。
リゾートマンションの売れ残りには、はっきりした型があります。
型①:月々のコストが重い物件。温泉大浴場・プール・スキーロッカーなど充実した共用施設は、そのまま管理費に跳ね返ります。対策は「使い倒せば安い」文脈に転換すること。大浴場・温泉込みの月額として近隣の日帰り温泉やホテル利用と比較できる材料を提示すると、利用頻度の高い買い手層には刺さります。
型②:低価格帯で仲介が動きにくい物件。 価格が下がるほど通常の仲介手数料では業者の採算が合わず、市場から放置されがちでした。この点は2024年7月施行の告示改正で、800万円以下の物件は仲介手数料の上限が30万円(税込33万円)まで認められるようになり[10]、低価格帯の流通環境は改善しています。「安いから扱ってもらえない」は過去の常識になりつつあります。
型③:賃貸・民泊で収益化できると誤解されている物件。 投資目的の買い手に民泊転用を訴求したくなりますが、リゾートマンションは管理規約で民泊(住宅宿泊事業)を禁止している場合が多く、規約の確認なしに収益可能性を謳うことはできません。売主側で規約の該当条項を確認し、可否を正確に伝えるのが、結果的に買い手の信頼と早期成約につながります。
Q. 「1円マンション」「10万円マンション」はなぜ生まれるのですか?
A. 物件価格がゼロに近くても、月々の管理費等と将来の修繕負担は残るためです。売主は「もらってもらう」ことで毎月の負担から解放され、買主は初期費用ほぼゼロでランニングコストだけ引き受ける——価格ではなく維持費で取引が成立している状態です。ご自身の物件がこの価格帯かどうかは、同じ棟内の成約事例で概ね判断できます。
Q. 相続したリゾートマンションを国に引き取ってもらえますか?
A. できません。相続土地国庫帰属制度は「建物の存する土地」を引き取り対象から除外しており[11]、マンションの敷地持分はこの要件を満たせないためです。戸建て別荘なら建物解体で申請の余地がありますが、区分所有では解体の選択肢が事実上ないため、出口は売却・贈与・無償譲渡(成立すれば)に絞られます。
Q. 賃貸に出しながら売却できますか?
A. 可能です。入居者がいる状態での売却(オーナーチェンジ)は投資目的の買い手向けになります。ただし賃貸に出した期間がある場合、取得費の減価償却の計算が非業務用とは変わるため、確定申告前に税理士への確認をおすすめします。
リゾート暮らし.comでは、熱海・湯河原・伊豆・箱根をはじめとするリゾートマンションの売却・無料査定を承っています。管理費の水準や滞納精算を含めた「実際に売れる条件」の組み立てから、実務経験に基づいてご一緒に検討します。
※税制・法令は2026年8月時点の情報です。個別の税額計算は税理士または所轄税務署にご確認ください。

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別荘の売却相場は自分で調べられます。国の成約価格データ・売出事例・固定資産税評価額からの逆算など4つの方法を、リゾート物件専門の宅建業者が手順つきで解説。別荘ならではの机上相場が当てにならない場合が多い現状もお伝えします。

別荘売却の全知識を宅建業者が解説。売却の流れ7ステップ、仲介手数料・印紙税などの費用、譲渡所得税の計算式、3,000万円控除が使えない理由、売れない別荘の対処法まで。リゾート物件専門だからわかる実態をお伝えします。
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