
リゾコム編集部
箱根の別荘売却をリゾート物件専門の宅建業者が解説。当社取扱データに基づく相場の実態(中央値約5,000万円・二極化の構造)、温泉権・標高・管理形態で決まる「売れる別荘」の条件、強羅・仙石原・芦ノ湖など別荘地ごとの特徴、成約事例と売却期間の目安まで。

「親から相続した強羅の別荘、買い手はつくのだろうか」「仙石原の別荘、使わなくなって数年経つが、いくらで売れるのか」——箱根の別荘売却のご相談は、この2つの疑問から始まることがほとんどです。
先に実務の結論をお伝えします。箱根は、リゾートエリアの中でも「売れる別荘」と「売れない別荘」の差が条件によってはっきり分かれるエリアです。都心から90分という立地と温泉地としての知名度で買い手の母集団は厚い一方、温泉権・標高・管理形態・再建築の可否といった箱根特有の条件が、価格と売却期間を大きく左右します。
この記事では、リゾート物件を専門に扱う当社の取扱データと成約事例をもとに、箱根の別荘売却の実態を解説します。売却全体の流れ・費用・税金は別荘売却ガイドで網羅していますので、本記事は「箱根ならでは」の論点に絞ります。
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2026年8月時点で当社が箱根エリア(箱根町)に掲載している売り物件は現在販売中で約20件(成約済を含めた掲載実績は約40件)。現在販売中の物件の価格帯の分布は次のとおりです。
| 価格帯 | 件数の割合 | 中身 |
|---|---|---|
〜1,000万円 | 約1割 | 築古戸建・別荘地内の土地 |
1,000〜3,000万円 | 1割未満 | バブル期分譲の管理別荘地内の中古別荘 |
3,000万〜1億円 | 約6割 | 仙石原・強羅・宮城野の戸建、温泉付き物件 |
1億円超 | 約3割 | 芦ノ湖・元箱根の大型敷地、新築・築浅の高規格別荘 |
価格の中央値は約5,000万円。最安は150万円の土地から、最高は3億円超まで、同じ「箱根の別荘」でも価格は200倍以上の開きがあります 。
この分布が示すのは、箱根の市場が「中心価格帯の厚い実需・二拠点ゾーン」と「価格を大きく下げないと動かない築古・土地ゾーン」に二極化しているという構造です。全国の空き家統計でも別荘など二次的住宅は約38万戸と積み上がっており[1]、箱根も例外ではありません。ご自身の物件がどちらのゾーンにいるのかを最初に見極めることが、価格設定と売却戦略の出発点になります。
なお在庫の築年を見ると、1980年代築が中心です。バブル期前後に分譲された別荘が相続などのタイミングで市場に出てくる——これが箱根の売り物件の典型的なプロフィールです。
ご自身で相場を調べる方法(国の成約価格データの使い方、固定資産税評価額からの逆算と、その机上相場が別荘では実勢とずれやすい理由)は別荘の売却相場の調べ方で手順つきで解説しています。箱根は取引事例が比較的多いエリアですが、それでも「温泉権と別荘地の管理状態で同じ築年・同じ広さでも価格が変わる」点は変わりません。
なお、箱根では足元で観光・インバウンド需要も回復しており、2025年の訪日外国人客は前年比27.6%増となっています。インバウンド回復が箱根の別荘市場に与える影響はこちら🔽
箱根の別荘売却で最初に確認するのは「どの別荘地か」です。当社が扱う主な別荘地だけでも、仙石原の温泉荘・仙石高原・春山荘・笹尾台・ニュー原宿ヴィレッジ、強羅の早雲郷・緑の村、二ノ平(彫刻の森周辺)、宮城野の明神平サニーパーク(東急箱根明神平)、芦之湯の湯の花高原、芦ノ湖の元箱根・さかさ富士・芦ノ湖高原と、性格の異なる別荘地が12以上あります。
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明治以来の歴史を持つ箱根別荘文化の中心地です。早雲山麓の早雲郷、彫刻の森近くの緑の村など、箱根登山鉄道・ケーブルカー沿いの利便性と温泉のブランド力で、価格を維持しやすいエリア。一方で急傾斜地が多く、擁壁や接道の状態が査定を大きく左右します。
宮ノ下と強羅の間に位置し、彫刻の森美術館や二ノ平温泉が身近にある文化的なエリアです。美術館・温泉に近い利便性と箱根中央部のブランド力で買い手の関心は高い一方、斜面地が多く、擁壁・造成・接道の状態が価格と再建築の可否を大きく左右します。傾斜による建築・造成コストや土砂災害区域の該当有無は、売り出し前に必ず確認しておきたいポイントです。裏を返せば、擁壁や接道が健全で「再建築できる」と言い切れる二ノ平の物件は、それだけで競合と差がつきます。
ススキ草原と美術館で知られる高原エリアで、別荘地の数・売り物件の数とも箱根で最多です。標高650m前後の高原気候は夏の避暑に強い反面、冬の凍結・湿気対策が買い手の必ず聞くポイントになります。当社成約でも仙石原は件数が最も多く、築古でも敷地の広い物件(後述の事例参照)は着実に動いています。
明神ヶ岳を望む明神平サニーパークなど、管理の行き届いた別荘地があるエリア。強羅より価格がこなれており、温泉権付きで1,000万円台〜という「箱根の温泉別荘の入口」 として、初めて別荘を買う層の需要を集めています。
芦ノ湖畔・湖を望む高原は箱根の高価格帯の主戦場です。当社でも元箱根の敷地1,000坪クラスの土地が8,800万円で成約するなど、まとまった敷地・湖や富士山の眺望という希少性が価格を支えます。標高が高く冬季の使い勝手は落ちるため、買い手はセカンドハウスというより「資産・事業」目線が強くなります。
箱根の玄関口で、別荘というより「温泉地の住宅」としての需要と重なるエリアです。駅徒歩圏なら永住・移住の買い手も射程に入り、他のエリアとは買い手層が変わります。
全国どこでも効く「価格設定」「依頼先選び」の原則(別荘売却ガイド参照)に加えて、箱根では次の4条件が売れやすさを分けます。
箱根の中古別荘で買い手が最初に確認するのが温泉です。ポイントは「付いているか」ではなく 「どういう権利で、いくらかかり、いま使える状態か」 です。
温泉権の名義変更料と利用料は供給元ごとに大きく異なり、この金額次第で買い手の総予算が変わります。契約書・検針票・利用料の領収書を揃えて即答できる物件は、それだけで競合物件より一歩前に出ます。逆に「温泉はあるはずだが書類が見当たらない」状態での売り出しは、値引き交渉の入口を自分から作るようなものです。
管理別荘地(東急箱根明神平など)は管理費・名義変更手数料がかかる一方、道路・水道・防犯の管理状態が買い手の安心材料になります。買い手が遠方居住の二拠点層である以上、「不在時に誰が見てくれるのか」への答えを管理会社が代わりに提供してくれるからです。管理費の金額・滞納の有無・名義変更の手続きは売り出し前に管理会社へ確認しておきましょう。
管理のない単独立地の別荘は、自由度の高さを好む買い手もいるため一概に不利ではありませんが、水道(引込か井戸か)・浄化槽・除雪や道路の維持を「誰がどうしているか」を説明できる資料が必須になります。
同じ箱根町内でも、湯本(標高100m前後)と芦ノ湖周辺(700m超)では冬がまったく違います。標高の高いエリアは凍結対策(水抜き)の要否、冬季のチェーン規制、灯油・薪の暖房事情が買い手の検討材料になります。「冬も普通に使えます」と言える物件と「冬は閉めます」という物件では、買い手の母集団の広さが変わる——これが標高の実務的な意味です。冬季の写真や暖房・断熱の改修履歴があれば、必ず販売資料に入れてください。
箱根町の大部分は富士箱根伊豆国立公園の区域内にあり[2]、自然公園法に基づく建築規制(高さ・色彩・建ぺい率など)を受けます。加えて傾斜地では擁壁・造成の規制、私道・位置指定道路の物件では接道要件が再建築の可否に直結します。
ここで重要なのは、規制は必ずしもマイナスではないという点です。規制があるからこそ乱開発されず、箱根の環境価値が保たれている——建て替え可能な土地の希少性は、価格の下支え要因でもあります。売り出し前に役場・県で規制を調査し、「再建築できます(条件はこれです)」と言い切れる状態にしておくことが、箱根では特に効きます。

「誰が買うのか」がわかると、価格設定も物件の見せ方も変わります。当社の現場から見える箱根の買い手は、大きく3層です。
① 都心の二拠点検討層(40〜60代) 最も厚い層です。ロマンスカーまたは新幹線・小田原経由で「金曜夜に着ける」ことが箱根の最大の武器で、テレワークの定着(実施率16.8%・前年度比増[3])が平日利用の背中を押しています。この層は温泉付き・通年利用可・管理ありを好み、3,000万〜1億円の中心価格帯を支えています。
② リノベーション前提の30〜40代 築古を安く買って自分好みに直す層です。1,000万円台以下の物件の主な受け皿で、建物の古さより構造の健全性と「直せる物件か」(再建築・増改築の規制、傾斜地の施工性)を見ています。この層に売る場合、中途半端な改修はかえって逆効果と言える場合もあります(詳しくは建物準備ガイド参照)。
③ 法人・事業目線の買い手 箱根は国内有数の観光地であるため、貸別荘・小規模宿泊施設への転用を狙う事業者、保養所・研修拠点を探す法人が一定数います。企業保養所の売却(出口)のご相談も箱根では珍しくありません。ただし宿泊事業への転用は旅館業法・住宅宿泊事業法や用途地域・管理規約の制約を受けるため、「民泊可能」と安易に謳わず、制度上の可能性として正確に伝えることがトラブル防止の要点です。
こうした事業需要の背景には、箱根そのものの観光需要の強さがあります。2025年の箱根町の観光客数は7年ぶりに2,100万人台を回復し、訪日外国人客は前年比27.6%増となりました。宿泊需要の拡大やラグジュアリーホテルの進出は、すべての別荘価格を直接押し上げるわけではありませんが、宿泊施設への転用可能性がある物件や大型別荘、保養所などの出口を考えるうえでは重要な追い風です。詳しくは箱根のインバウンド増加が別荘市場に与える影響で解説しています。
実際の成約事例を見ると、箱根でどのような物件が、どの程度の価格で動いているのかがより具体的に見えてきます。以下は当社サイトに掲載した箱根エリアの成約事例の一部です。※成約情報には、当社仲介以外で成約した物件も含まれます。
| エリア | 物件 | 成約価格 |
|---|---|---|
仙石原 | 築1988年・敷地約320坪の戸建 | 4,300万円 |
元箱根 | 敷地約1,000坪の売地 | 8,800万円 |
宮城野 | 築1988年・温泉付き戸建 | 1,950万円 |
明神平サニーパーク | 管理別荘地内・温泉付き | 1,400万円 |
仙石原 | 築1982年・デザイナーズ(八角形)別荘 | 1,188万円 |
強羅 | 別荘地内の売地約340坪 | 3,800万円 |
事例から読み取れることが3つあります。
成約事例の一覧は箱根の成約事例で、現在の売り物件は箱根の物件一覧でご覧いただけます。ご自身の物件と条件が近い事例を見ておくと、価格の相場観が具体的になります。
箱根の売却期間は、条件が整った物件(温泉権・管理・再建築が即答できる中心価格帯)で3〜6ヶ月、論点のある物件(温泉休止中・再建築に調査が必要・築古の高値スタート)は1年以上かかることも珍しくありません。期間のブレがどの工程で生まれるか、長期化させないための価格改定ルールの決め方は売却の流れと期間の記事で詳しく解説しています。
タイミングについては、箱根は観光こそ通年ですが、別荘の内見は新緑〜紅葉(4〜11月)に集中します。標高の高いエリアは冬の内見で魅力が伝わりにくく、凍結でインフラ確認もしづらいためです。逆算すると、冬の間に査定・書類整理・温泉権の確認・清掃を済ませ、春に売り出すのが箱根の理想的なスケジュールです。
税金面では、譲渡した年の1月1日時点の所有期間で税率が約20%と約40%に分かれる点[4]、自宅用の3,000万円特別控除が別荘には使えない点[5]に注意してください。手取り額の計算方法は費用と税金の記事で、利益が出た場合の翌年の申告手続きは確定申告の記事で解説しています。
Q. 温泉権が休止中(長年温泉を使っていない)でも売れますか? 売れますが、「再開できるのか・費用はいくらか」を供給元に確認してから売り出すことを強くおすすめします。休止中のまま売り出すと、買い手は最悪ケース(再開不可)を想定して価格を見るため、確認の一手間が数百万円の差になることがあります。
Q. 企業の保養所でしたが、個人向けに売れますか? 売れます。ただし建物が大きい保養所は個人の別荘需要とはサイズが合わないことが多く、法人・宿泊事業者を含めた販売戦略が現実的です。用途変更や消防設備の論点もあるため、保養所の取扱経験がある業者に相談してください。
Q. 冬は現地に行けないのですが、売却活動はできますか? 可能です。鍵をお預かりして内見対応・換気・通水確認まで代行するのが、遠方所有者の売却では一般的な進め方です。むしろ冬の間に書類整理と査定を済ませておくと、春の売り出しに間に合います。
Q. 強羅や湯本のリゾートマンションも、この記事の考え方で売れますか? 大枠は同じですが、マンションは勘所が変わります。買い手が最初に見るのは物件価格より管理費・修繕積立金・温泉利用料の月額合計で、管理費等の滞納があると買主に引き継がれるため決済時の精算が原則です。詳しくはリゾートマンション売却ガイドをご覧ください。
Q. 相場より高めで売り出してみることはできますか? 可能ですが、箱根は買い手が相場をよく研究しているエリアで、高値スタートの物件は「売れ残り」の印象がつくと後の値下げでも動きにくくなります。挑戦価格にするなら「いつ・いくらまで下げるか」をあらかじめ決めておく——これが高値挑戦の鉄則です。
リゾート暮らし.comは、箱根・強羅・仙石原・芦ノ湖をはじめとするリゾートエリア専門の宅建業者として、売却のご相談・無料査定を承っています。温泉権や管理契約の確認といった売り出し前の調査からご一緒しますので、「まだ売ると決めていない」段階でもお気軽にご相談ください。
※掲載件数・価格分布・成約事例は2026年8月時点の当社取扱データに基づきます。市場の状況は変動するため、最新の相場は個別の査定でご確認ください。税制・法令に関する記述は2026年8月時点の情報です。

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