
リゾコム編集部
別荘売却の手取り額は「売却額−費用−税金」で決まります。仲介手数料・印紙税などの費用一覧から、譲渡所得税の4ステップ計算、取得費の資料の有無で税額が0円にも277万円にも変わるモデルケースまで、リゾート物件専門の宅建業者が計算式で解説します。

「1,500万円で売れたら、手元にいくら残りますか」——売却相談で必ず聞かれる質問ですが、答えは物件ごとにまったく違います。同じ売却額でも、取得時の資料が残っているかどうかで、税金がゼロにも数百万円にもなるのが別荘売却だからです。
費用と税金の全体像は別荘売却ガイドでも解説しましたが、この記事では一歩進めて、実際に手取り額を計算できることをゴールにします。費用の一覧、税金の4ステップ計算、そして対照的な2つのモデルケースの通し計算まで、リゾート物件専門の宅建業者の立場から数式ベースで解説します。
手取り額 = 売却額(譲渡価額)−(1)売却にかかる費用 −(2)税金
構造はこれだけです。(1)の費用は売却額のおおむね4〜5%前後に収まることが多い一方、(2)の税金は0円から売却額の2割超まで物件の事情によって振れます。この記事においては、費用を先に手早く押さえ、振れ幅の大きい税金についてより詳しく解説する構成にしています。

| 費用 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円+消費税(800万円超の速算式) | 上限は宅建業法に基づく告示で規定[1] |
仲介手数料(800万円以下) | 上限30万円(税込33万円) | 2024年7月の告示改正による特例。依頼者の一方(売主・買主それぞれ)につき適用され、媒介契約時の説明・合意が要件[2] |
印紙税 | 1,000万円超5,000万円以下の契約で1万円 | 2027年3月31日までの軽減税率[3]。期限後は本則税率(同区分で2万円)に戻る予定 |
抵当権抹消登記 | 1〜3万円程度 | ローン残債がある場合。登録免許税+司法書士報酬 |
測量費用 | 数十万円かかる場合も | 境界が不明確な場合。要否は物件による |
解体・残置物処分 | 物件による | 古家付き土地として売る場合や家財処分 |
管理会社関連 | 管理会社の規定による | 管理別荘地の名義変更手数料など |
築古別荘に多い800万円以下の取引では、上の速算式に代えて特例上限(税込33万円)が適用される場合があります[2]。印紙税とあわせ、1,500万円の売却なら費用合計は60万円前後に収まるのが典型です(測量・解体が不要な場合)。後述のモデルケースでは、この費用60万円を譲渡費用として使用します。
税金(所得税・住民税)は次の順で計算します。
課税譲渡所得 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額[4]
譲渡費用は(1)で見た仲介手数料や印紙税など、売るために直接かかった費用です。
取得費は「買ったときの代金+購入時の諸費用」ですが、建物は購入額をそのまま使えず、経過年数分の減価償却費相当額を差し引きます。自宅や別荘など非業務用の建物の計算式は次の通りです[5]。
減価償却費相当額 = 建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数 ※非業務用の償却率:木造0.031/鉄筋コンクリート造0.015。償却費相当額は建物取得価額の95%が上限[5]
そして、相続した別荘などで購入当時の契約書が見つからない場合は、譲渡価額の5%を「概算取得費」とすることになります[6]。この5%ルールが税額を劇的に変えることを、後のモデルケースで見ます。
自宅売却で使える3,000万円特別控除は、「別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋」には適用されません[7]。つまり別荘の譲渡所得は、原則としてそのまま課税対象になります。
| 区分 | 所有期間(譲渡年の1月1日時点) | 税率 |
|---|---|---|
長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)[4] |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)[8] |
※復興特別所得税は2037年(令和19年)分まで課される上乗せ分です。
判定日が「譲渡した年の1月1日」である点、年をまたぐだけで税率が約2倍変わりうる点は、別荘売却ガイドのタイムライン図解をご覧ください。
取得費の資料の有無だけが違う、対照的な2つのケースを通しで計算します(いずれも所有5年超・長期譲渡、譲渡費用60万円、木造別荘)。
ケースA:25年前に土地1,000万円+建物1,500万円で購入。契約書あり
減価償却費相当額 = 1,500万円 × 0.9 × 0.031 × 25年 = 約1,046万円 建物の取得費 = 1,500万円 − 1,046万円 = 約454万円 取得費合計 = 土地1,000万円 + 建物454万円 = 約1,454万円
課税譲渡所得 = 1,500万円 −(1,454万円 + 60万円)= ▲14万円(譲渡損)
譲渡損なので税金は0円です。別荘の譲渡損失だけであれば確定申告も通常不要ですが、他の所得の状況によって申告が必要になる場合はあります。なお、別荘の譲渡損失は給与所得など他の所得と損益通算できないため、税金が戻ることもありません[9]。
※取得時の仲介手数料や登記費用などの諸費用も取得費に含めることができます。本ケースでは例示を簡潔にするため省略しています。
ケースB:相続した別荘。購入当時の資料が見つからず概算取得費5%を使用
概算取得費 = 1,500万円 × 5% = 75万円[6] 課税譲渡所得 = 1,500万円 −(75万円 + 60万円)= 1,365万円 税額 = 1,365万円 × 20.315% = 約277万円
手取りの差は約277万円。売却額も物件も同じで、違うのは「取得費を証明できるか」だけです。相続別荘の売却前に、当時の売買契約書・分譲パンフレット・価格表・住宅ローンの記録を探す価値がどれほど大きいか、この比較が示しています。

いずれの特例・判断も適用可否は個別の事情によります。実行前に必ず税理士にご相談ください。
Q. 仲介手数料はいつ支払うのですか?
A. 売買契約時に半金、決済・引渡し時に残り半金という支払い方が実務では一般的です(決済時一括の場合もあり、媒介契約時に確認できます)。
Q. 売却で損が出た場合、確定申告は必要ですか?
A. 譲渡損失なら申告義務は原則ありません。ただし別荘の譲渡損失は事業所得や給与所得など他の所得と損益通算できないため[9]、「損が出たから税金が戻る」とは考えないでください。なお、同じ年にほかの土地・建物を売却して譲渡益が出ている場合は、その譲渡益から控除できることがあります[9]。適用関係には個別性があるため、該当する場合は税理士にご確認ください。
Q. 住民税はいつ請求されますか?
A. 譲渡所得に対する住民税は、確定申告をした年の6月以降に翌年度分として課税されます。売却した年ではなく翌年に納付が来るため、手取りから納税資金を取り分けておくのが安全です。
Q. 確定申告は自分でできますか?
A. 取得費の資料が揃った単純なケースなら国税庁の確定申告書等作成コーナーで対応できます。概算取得費と実額のどちらを使うか迷うケース、取得費加算の特例を使うケースは、税理士への相談をおすすめします。
Q. 御社に税金の詳細を相談できますか?
A. 当社は宅建業者であり、個別の税額計算や特例適用の判断といった税務相談は税理士法上の税理士の業務のため、お答えできかねます。売却のご相談の中で税金が論点になった場合は、税理士または所轄税務署へのご確認をご案内しています。
リゾート暮らし.comでは、軽井沢・箱根・熱海・伊豆・那須・千葉・沖縄のリゾートエリアを専門に、売却のご相談・無料査定を承っています。査定額だけでなく、費用と税金まで含めた「手取りベース」の売却シミュレーションからご一緒に検討します。
※税制・法令は2026年8月時点の情報です。モデルケースは概算の例示であり、個別の税額計算は税理士または所轄税務署にご確認ください。

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