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【2025年最新版】リゾート地における別荘の売却ガイド~建物編~
はじめに
本記事は別荘の物件の売却に関する内容のため、すでにリゾート地の別荘をお持ちの方向けの内容になります 。あらかじめご確認の上、読み進めていただければ幸いです。
別荘をお持ちで、売却について少しでもご検討されたことのある方は、以下のような物件の価値についてのお悩みを抱えていることでしょう。
- 「別荘を長期間使用していないため売却が可能か心配」
- 「相続した別荘の設備が古くて価値があるのか不安」
- 「建物の不具合を修繕すべきか、そのまま売却すべきか迷っている」
- 「購入時より市場価値が大きく下がっているのではないかと懸念」
さて、別荘を売却するにあたって、建物の状態は売却価格や成約までの期間に大きく影響します。2025年現在、コロナ禍を経て別荘・リゾート物件の需要は大きく変化しており、テレワークの普及と共に「セカンドハウス」としての価値が再評価されています 【1】。
本記事では、リゾート地の物件の売却について、上述のような現在の市場動向を踏まえた上で物件の価値を最大化するためのポイント を詳細に解説します。リゾート地における別荘の売却ガイド~土地編~と合わせてお読みいただくことで、リゾート地の物件売却について、さらなる理解を得られることと思いますので、こちらの方もぜひ一読いただければと思います!
では以下から本編の解説になります!
1. 物件の現状を把握

物件の売却においては、まず現状を正確に把握することが何よりも重要です。これにより適正な価格設定や必要な対策が明確になります。ホームインスペクションを依頼することも、客観的な状態把握には効果的でしょう。
参考:リゾート地の別荘物件に特化したホームインスペクションサービス
1.1. 建物の状態確認
外観チェック:
- 【屋根】 瓦やスレートの状態(破損等がないか)の確認
- 【外壁の損傷】 外壁材の種類(サイディング、モルタル、木材など)による劣化状況の差異に注意
- 【雨漏りの形跡】 特に軒裏や雨樋の状態は要チェック(落ち葉詰まりによる雨漏りリスク)
- 【付帯設備】 ウッドデッキがある場合は腐食や強度確認が必須
内部チェック:
- 【床や壁の腐食】水回り近辺の床下点検口からの確認が重要
- 【雨漏りのサイン】天井のシミや壁紙の膨らみは雨漏りのサイン
- 【シロアリ被害】木部の空洞化や木粉の痕跡を確認
- 【結露対策】窓枠や建具の動作確認(結露による腐食の有無)
設備稼働状況:
- 【給排水設備】長期不使用の配管は水漏れリスクが高いため全箇所確認
- 【電気設備】電気ブレーカーやコンセントの安全性確認
- 【空調設備】エアコン等の空調機器は試運転で異音や効きを確認
建物の傾き:
- 【歪みの確認】ドアの開閉具合で建物の歪みを確認
- 【水平検査】床の水平器検査(特に築20年以上の物件)
- 【基礎の状態】基礎のひび割れパターンの確認(乾燥収縮か構造的問題か)
1.2. 築年数と法的要件
耐震基準の適合状況:
- 【耐震基準】1981年以前の建物か否か(旧耐震か新耐震か)
- 【価格影響】旧耐震基準の場合、耐震診断結果が売却価格に大きく影響
- 【最新基準】2000年以降の建物は現行の耐震基準に適合しているかの確認も重要
- 【改修履歴】耐震改修履歴があれば、その内容と証明書類の確認
増改築の履歴:
- 【無届増改築】特に水回りやサンルーム等の増築は要注意
- 【建築確認】建築確認申請が必要な規模の改修履歴を確認
- 【違法建築】違法建築部分がある場合の対応方針検討
設計図面や確認済証:
- 【法的書類】建築確認済証、検査済証の有無確認
- 【現状比較】設計図面と現状の相違点確認
- 【設備図面】設備図面(電気、給排水)の有無は買主にとって価値がある
固定資産税評価証明書:
- 【面積確認】登記面積と実測面積の差異確認
- 【未登記建物】未登記の付属建物がある場合の対応
- 【価値推移】固定資産税評価額の履歴から価値推移を確認
2. 建物価値を最大化するためのポイント
リノベーション vs 現状での売却

建物の価値を最大化するためには、建物の状態によってリノベーションを行うか現状で売却するかの判断が重要です 。以下に各対応が適切なケースを示します。
リノベーションが有効なケース:
- 立地条件が良く、需要の高いエリア(人気観光地付近・アクセス良環境)
- 構造体は健全だが、内装や設備が古め(築15〜25年が多い)
- 初期見積もり時に周辺相場より低い評価になっている
- 自然環境の良さを活かせるオープンスペースがある
- オールシーズン利用可能な設備投資の余地がある
現状での売却が適切なケース:
- 建物の老朽化が著しい(築30年以上で大規模修繕未実施)
- リノベーションコストが高い(改修費が物件価値の40%超程度の場合)
- 解体を前提とした売却が市場で一般的な地域
- アクセスの悪さなど立地的デメリットが大きい
- 近隣の空き別荘が増加しているエリア
- 土地の価値の方が建物価値より高いケース
また、2025年のリゾート市場では、建物の価値を決定する新たな価値基準も登場しています 。
新たな価値基準:
- 【ワーケーション対応】高速インターネット完備、ワークスペース確保、オンライン会議に適した音響環境など
- 【サステナブル設計】太陽光発電システム、雨水利用設備、省エネ構造、環境に配慮した建材の使用
- 【スマートホーム機能】IoT家電連携、遠隔制御システム、セキュリティ強化機能
- 【健康志向設備】空気清浄システム、有害物質フリー内装、ウェルネススペース
- 【地域共生型】地元コミュニティとの連携、地域資源の活用、災害時相互支援体制
価値を高める簡易改修
考慮や計画の余力があれば、全面リノベーションではなく、費用対効果の高い簡易改修のみ行うのも効果的でしょう 。投資対効果の高い改修から優先的に実施しましょう。
外観の美化:
- 外壁の高圧洗浄とクリーニング: 3〜5万円程度【4】
- 玄関ドアの修繕: 【塗装】木製ドアで5万円~20万円程度、金属ドアで3万円~10万円程度 / 【交換】木製・金属製共に20万円~50万円前後が相場【5】
- 庭の手入れと剪定: 剪定対象の木の種類・本数により変動【6】
- 屋根の洗浄とコーティング:(100~300円/㎡)【7】
内装のクリーニング:
- 特に水回りとキッチンの徹底清掃
- フローリングのメンテナンスと艶出し
- クロスの張替え(特に壁紙の色は明るい色に変更すると印象が大きく変わる)
- 天井や壁の染みや汚れの対策
臭気対策:
- 長期不在による湿気やカビの臭い除去(オゾン脱臭など)
- 床下換気扇の設置や点検(結露防止効果も高い)
- 自然素材の消臭材の設置
- 換気システムのクリーニングと整備
小規模修繕:
- 壁のひび割れや床の傷の補修
- 建具の調整や交換(開閉がスムーズになることで印象向上)
- 水栓や照明器具など小物金物の交換(比較的安価で印象が大きく変わる)
- 断熱材の補充や窓の気密性向上(エネルギー効率改善をアピール)
ワーケーション対応:
- 高速インターネット環境の整備(光回線導入など)
- 作業スペースの確保と照明整備
- コンセント増設や電源環境の改善
3. 別荘建物売却における特有の注意点

管理状態の影響
リゾート地の別荘は使用頻度が低いため、管理状態が価値に直結します 。適切な管理がされていた物件は「安心感」という無形の価値を持ちます。
定期的なメンテナンス記録:
- 管理委託していた場合の記録は資産価値となる
- 点検報告書や修繕履歴のファイリング
- 設備のメーカー保証書や取扱説明書の保管状況
- 専門業者による定期点検の実施履歴(年2回以上が理想的)
不在期間中の対応:
- 台風や豪雪などの災害後の対応状況
- 空き家保険の加入有無と補償内容
- 遠隔監視システムの導入状況(セキュリティ面での安心感)
- 近隣住民や管理会社との関係性(緊急時対応の体制)
管理費・修繕積立金の状況:
- 管理費未払いは売却の大きな障害になる可能性
- 滞納がある場合は売却前の清算が必須
- 管理組合の財政状況や大規模修繕計画の確認
- 管理規約で定められた売却時の手続きの確認
別荘地全体の管理状況:
- 共有施設(道路、水道、公園など)の維持管理状態
- 管理組合の活動状況と今後の計画
- 空き家率や定住率などコミュニティの活性度
- 隣接区画の管理状況(荒れた空き地は資産価値低下の要因)
設備トラブルの事前対応
リゾート特有の設備問題にも注意が必要です。事前対応することで、売却時のネガティブ要素を減らせます。
水道凍結対策:
- 寒冷地における配管の保温状態確認
- 水抜き栓の動作確認と説明書の準備
- 過去の凍結歴と対策記録の整理
- 不凍栓や不凍水栓の設置状況
井戸水設備:
- 井戸ポンプや浄水設備の動作確認
- 水質検査の実施と結果の保管
- 揚水量や水質の季節変動記録
- メンテナンス方法の説明資料作成
浄化槽設備:
- 法定点検の履歴と清掃記録
- 浄化槽の種類と性能(合併処理か単独処理か)
- 浄化槽設備の更新時期と残存耐用年数
- 臭気や処理状況の問題有無
暖房設備:
- ストーブやボイラーの安全確認と点検記録
- 煙突やダクトの清掃状況
- 灯油タンクや配管の漏れ確認
- 暖房効率と燃料コストの情報整理
エネルギー供給設備:
- プロパンガス設備の点検状況
- 太陽光発電システムの発電効率と維持管理状況
- 蓄電池の設置有無と性能
- オール電化システムの説明資料
ペット・害虫・害獣対策
リゾート地特有の生物被害対策も売却時の重要ポイントです。
害虫対策:
- シロアリ検査と駆除証明書の取得
- 定期的な防虫処理の実施と記録
- ハチの巣やアリの巣などの有無確認
害獣対策:
- 屋根裏や床下の小動物侵入防止対策
- 害獣による配線等の損傷確認
- 防獣ネットや柵の設置状況
4. 建物の売却価値を高める資料の整理

別荘売却時には、建物に関する資料を整理することで、買主の不安を取り除き、価値を高められます。
必須準備資料
権利関係書類:
- 建物の登記事項証明書(全部事項)
- 固定資産税評価証明書と納税通知書
- 建築確認済証と検査済証
設計・施工関連:
- 建築設計図面(平面図、立面図、構造図など)
- 施工業者の情報と工事記録
- 構造計算書(必要に応じて)
維持管理記録:
- 修繕履歴と工事請負契約書
- 定期点検記録(特に設備関連)
- 管理委託契約書と月次報告書
アピールポイントとなる資料
省エネ・断熱性能:
- 断熱材の種類や施工状況の写真
- 窓サッシや断熱ガラスの仕様書
- 省エネ設備の保証書や性能証明
耐震性能:
- 耐震診断結果または耐震補強工事の記録
- 地盤調査報告書
- 基礎工事の施工写真
住環境情報:
- 周辺施設マップ(コンビニ、医療機関など)
- 四季の景観写真
- 電波状況や通信環境の情報
5. 専門家との連携とタイミング

リゾート建物の売却においては、専門家との適切な連携が成功の鍵となります。
連携すべき専門家
建物診断の専門家:
- ホームインスペクター(住宅診断士)による客観的診断【2】【3】
- シロアリ検査業者
- 設備点検業者(電気、給排水、空調)
リフォーム業者:
- 簡易改修の見積もり複数取得
- 売却前リフォームの専門業者活用
- バーチャルホームステージング対応業者
売却のベストタイミング
季節要因:
- リゾート地は繁忙期前(春〜初夏、秋)が有利
- 物件の魅力が最大限引き立つ季節を選ぶ
- 積雪地域は無雪期の売り出しが鉄則
市場要因:
- 地域開発計画や交通アクセス改善等の好影響で全体的な地価が上昇する時
- 競合物件の状況確認
まとめ
リゾート地における別荘建物の売却では、以下のポイントを押さえることで、スムーズな売却と適正価格での成約が期待できます。
- 建物の現状を正確に把握し、客観的な目線で評価する
- 市場価値と改修コストを比較検討し、投資回収可能な改修を選択する
- 費用対効果の高い簡易改修を優先的に実施する
- リゾート特有の管理状態や設備問題に事前対応する
- 売却価値を高める資料を丁寧に整理・提示する
- 専門家との適切な連携とベストタイミングでの売り出しを心がける
適切な準備と戦略的なアプローチで、リゾート別荘の価値を最大限に引き出しましょう。中長期的な市場動向を見据えつつ、「建物の資産価値」だけでなく「ライフスタイルとしての価値」をアピールすることが、2025年のリゾート建物売却の成功の鍵 となります。
参照
【1】工房信州の家 - セカンドハウスとは?別荘との違いは?税制上の違いを解説!
【2】ログハウス・別荘建物調査(新築・中古) - 住宅検査センター
【3】【業界No.1】 長野県のホームインスペクション(住宅診断)
【5】外壁塗装110番 - 玄関ドアを塗装や交換するときの価格相場と注意点